レッスンNo.2 つぶやきの神髄

教室の進め方。

同じものを、妻と僕が同時にそれぞれ撮り、それぞれの写真を見比べてながら、 改善点や気になった点を指摘していく、以上。 (シャッタースピード、絞りや露出など専門的なことを説明しても妻は余計に混乱するので専門用語は可能な限り使わないつもりです)

 被写体・冷製コーンスープ 

 課題・「おいしそうに」 

 使用機材・iPhone 




妻・どうかな? 


夫・う〜ん、微妙だなぁ。正直、前回(トイカメラ)から上達の気配は感じない。なんで、同じ瞬間、同じ場所で撮ってここまで違うかなぁ(…教える自信なくしてきた)。 


 妻・私だって頑張ったよ。じゃあどこを、どうすればいいわけ? 


 夫・まずどこが分からない? 


 妻・あなたはプロだから何でも教えられる気満々かもしれないけど、こっちは、その分からないところが、まず分からないの!  


 夫・…すみません。了解です。じゃあまず、前回のレッスンで伝えたけど、心の中でスープに話しかけてみた? 「君はなんて美味しそうなんだ。美味しく撮ってあげるからね」とか。 


 妻・ごめん、忘れてた。あれ、真面目な話だったの。 


 夫・もちろん大真面目。今の段階で君に技術的なことは求めてないよ。でも、被写体に向かう気持ちはすぐに持てると思うし、自分次第で変えられると思う。大切なのは被写体への愛情の有無。 


 妻・まぁ、そうだけど。でも、具体的には? 


 夫・「美味しそうだね」って愛情持って心の中で話かける。そうすると相手の魅力を見つけ出そうっていうモチベーションにつながる。今回はスープだけど、一番どこに魅力を感じた? 別の言い方をすれば、どこにときめいた? 


 妻・ときめきか‥。なんかコンマリさんみたいだね。 


 夫・今、アメリカでもすごいみたいだけど。わかった、君の写真も今日はコンマリさん作戦で行ってみよう。君にはその方が合ってる気がしてきた。 


 妻・どういうこと? 


 夫・ときめいた部分だけに集中する。ときめかない部分はばっさり捨てる。 


 妻・そんなんで上手くいくかな? 


 夫・実は写真と収納って意外に似てるんだよ。ときめき、でもいいし、断捨離でもいい。とにかく、余計なものは潔く捨てて撮る。今回、君の写真は余計なものが写りすぎ。収納だと思って、画面をもう少し整理するといい。 


 妻・収納なら、なんか私にも出来る気がしてきた。 


 夫・写真の構図は自分の部屋だと思えばいい。余計なものはなるべく置きたくないでしょ。 


 妻・自分の部屋ね、分かった。 


 夫・じゃあ、オレの写真で説明して行こう。今回一番ときめいた部分は、スープに浮かぶコーンの粒々。さらに言えば、わずかに焦げている部分。ここを最大限に生かそうと思った。次にときめいた部分は鍋とスープの境界線がつくる明暗のあるアーチ状のライン。何気に美しいと思った。それ以外はばっさり捨てた。 


 妻・なるほど。 


 夫・あと、これは技術的な話になってしまうけど、逆光気味にして撮ることで、スープの表面が反射光で少し輝くようにしてみた。 


 妻・料理写真は逆光気味がいいってことはさすがに私も知ってるけど‥。 


 夫・とにかく、すぐにパシャりと撮るんじゃくて、2、3秒でいいから被写体の一番魅力的な部分を探すんだ。被写体に話しかけて、語り合う。コンマリさん風に言えば、ときめきを探る。また、写真家ハービー・山口氏は「物語性」を探すという言葉で表現している。呼び方はなんでもいい。今回で言えば、コーンがわずかに焦げているところにオレは物語性を感じた。香ばしい香りがするかな、焼くのに炭火を使ってたりして…などなど想像が膨らんだ。そして、見つけ出したら、そこを最大限に愛情表現して一点突破する。ほかを捨てるには望遠機能を使ってズームも有効。 


 妻・一点突破? 


 夫・最初は欲ばっちゃいけない。一点に集中。現時点では、あとはどうでもいい、なりゆき。どんな被写体にも、探せばどこか必ず光る(ときめきor物語性)部分があるはずだと、信じて向かい合う。カメラマンの腕の良し悪しって、結局はシャッター以前の問題。見つけ出せるか、見つけ出せないかのセンス。それで写真って変わってくるんだよ。と、偉そうに言いつつ、オレも毎回悩んで撮ってます。もし、それでも見つからない時は、片目をつむって見つめることも意外に効く。


 妻・ウインク? そこまで被写体に愛情表現するわけ? 


 夫・いやさすがに違う。両目だと情報量が多すぎるから、片目で見つめると情報が絞られ、迷いが減る。それにカメラのレンズって一つでしょ。カメラは「一眼」だから、同じ条件で被写体を見つめることで、自分の身体をカメラという機械側に寄せる。 


 妻・さっきからちょっと禅問答っぽくない。そういう考え方って写真界では結構普通なの? 


 夫・分かんない。たぶんオレだけ。知っての通り、写真学校もアシスタントもすっ飛ばした独学写真家だから。 


 妻・じゃあ、これってある意味、ガラパゴス的進化論というか、我流写真論? 


 夫・もちろんです(笑)。でも逆に言えば、どんな写真ノウハウ本にも書いてないこと今伝えているんだから。オリジナリティー100%、門外不出。結構貴重だよ、感謝してよ。少なくとも20年の経験の裏付けはある。 


 妻・了解! 精進精進。 


 夫・ああ、そうだ最後に大事なこと言い忘れてた。 


 妻・まだあるの、また、なんとか進化論? 


 夫・これは前回も言ったけど、小物や料理を撮る時はやや望遠気味にする。スマホカメラは、昭和のコンパクトカメラ(単焦点)と同じで、かなり広角。これは横位置で集合(記念)写真撮ることを第一に想定しているからだと思う。だからそのままだと余計なものがたっぷり映り込む。だからやや望遠気味にする。 そして近づきすぎない(前回参照)。インスタ用に料理撮る人って大勢いるけど、見ているとたいがいの人は席に座ったまま撮っている。あれは絶対に席から立って、やや望遠気味にして撮った方がいい。見たことあると思うけど、おれなんか仕事の時、立つだけじゃ足りなくて、ミニ脚立の上から撮ってるでしょ。別に高いところが好きなわけじゃないよ。 


 妻・あの脚立、理由あったのね。 


 夫・はい、あります。 


 今回の上達3法則 

1・被写体と愛情持って会話。 

2・ときめき(物語性)部分を見つける。 

3・見つけたら、一点突破!     

大人マナー「日本一やさしい写真教室」

うちの妻はライターです。機械音痴というか、まったく写真はド素人です。 現在、世の中の「写真」の85パーセントはカメラではなく、スマホで撮られています。 多くがSNSにアップされるなど自分以外に見せることも少なくありません。 ならば写真の撮り方は、もはや、大人マナーのひとつ。 妻にも、もう少し上手くなってほしいと、マンツーマンの写真教室を開くことにしました。

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